三線・三味線

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

yama333

こんにちは。雅の響きと東方の調べ、運営者の響です。

三味線を始めたばかりの方から、しばらく弾いているけれど調弦にはいつも自信が持てないという方まで、「三味線 調弦 早見表」で検索してこの記事に辿り着いた方は多いのではないでしょうか。

私も最初の頃は、一の糸をどの高さに合わせればいいのか、本調子と二上りの違いがよくわからないまま、なんとなく耳で合わせていた時期がありました。でも三味線というのはバイオリンのように絶対的な音の高さが決まっているわけではないので、最初にそこを理解しておくだけで、調弦への向き合い方がぐっと楽になりますよ。

この記事では、本調子・二上り・三下りといった基本三調子の関係性から、本数や十二律、尺寸との対応早見表、調子笛やチューナー、アプリを使った具体的な調弦方法、さらに勘所を使って耳で合わせるやり方まで、まとめて解説していきます。津軽三味線や沖縄三線のちんだみについても触れていきますので、じっくり読んでいただければ調弦の全体像がすっきり整理できるかなと思います。

  • 三味線の基本三調子(本調子・二上り・三下り)の違いと特徴
  • 本数・十二律・尺寸の対応関係がわかる早見表の使い方
  • 調子笛・チューナー・アプリを使った具体的な調弦のやり方
  • 勘所を使った耳での調弦方法と沖縄三線のちんだみとの違い

三味線調弦の基礎知識と早見表の見方

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

まずは三味線の調弦がどういう仕組みになっているのか、基本の考え方から整理していきます。ここを理解しておくと、後半の早見表もぐっと読みやすくなりますよ。

絶対音がない三味線の調弦の考え方

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

バイオリンやチェロといった洋楽器は、各弦の音の高さがあらかじめ固定されています。バイオリンならG-D-A-E、チェロならC-G-D-Aというように、絶対的な基準があるんですね。

ところが三味線には、こうした絶対音という考え方がありません。「この糸は必ずこの音でなければならない」という決まりが無いんです。これは最初、私もかなり戸惑ったポイントでした。

なぜそうなっているかというと、三味線はもともと唄の伴奏楽器として発展してきた楽器だからです。一緒に演奏する唄い手さんの声の高さや、合奏する尺八・笛といった他の楽器、あるいは曲全体の雰囲気に合わせて、基準となる音(基音)を柔軟に変えられるようにできているんですね。

洋楽器のように音が固定されていない分、三味線は自由度が高い反面、最初のうちは「どの高さに合わせればいいの?」と迷いやすい楽器でもあります。まずは自分が弾きやすい高さを見つけることから始めるのがおすすめです。

一の糸を基準にした音の合わせ方

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

調弦の際は、まず一番太い糸である一の糸の開放弦(何も押さえない状態)の音の高さを決めます。この一の糸の音を基準にして、二の糸、三の糸を相対的に合わせていくのが三味線の調弦の基本の流れです。

ただし、合奏をするときなどは全体の基準ピッチ(周波数)を統一しておく必要があります。一般的な調子笛やCDのカラオケ音源などは、国際標準ピッチであるA=440Hzを基準に作られていることが多いです。この440Hzという数値は、国際規格としても定められている基準になっています(出典:ISO 16:1975 Acoustics — Standard tuning frequency)。

一方で、現代のお琴(箏)や三味線の合奏、オーケストラなどでは、音がより明るく際立って聞こえるA=442Hzが主流になってきています。どちらが正しいということではなく、演奏する場面や合わせる相手によって使い分けるものだと考えておくとよいですね。

本調子・二上り・三下りの違いとは

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

三味線の3本の糸(一の糸・二の糸・三の糸)の音の高さの関係性のことを「調子」と呼びます。代表的な調子には本調子・二上り・三下りの3つがあり、これらを「基本三調子」と呼びます。

ここでは基準となる一の糸の音を「C(ド)」とした場合の、それぞれの音の構成を見ていきましょう。

本調子(ほんちょうし)

すべての調弦の基本となる調子です。一の糸=C(ド)、二の糸=F(ファ)、三の糸=C(1オクターブ上のド)という構成になります。一から二の糸が完全4度、二から三の糸が完全5度、一から三の糸がオクターブの関係です。落ち着いた響きを持ち、長唄などの古典曲やソーラン節・花笠音頭といった一部の民謡の本来の調弦として使われます。

二上り(にあがり)

本調子の状態から、二の糸を1全音(2律)高くした調子です。一の糸=C、二の糸=G、三の糸=Cという構成になり、一から二の糸が完全5度、二から三の糸が完全4度の関係になります。明るく開放的な響きが特徴で、津軽三味線で最も頻繁に使われる調弦です。本来は本調子で弾く曲でも、調弦の手間を省くために二上りで演奏することがよくあります。

三下り(さんさがり)

本調子の状態から、三の糸を1全音(2律)低くした調子です。一の糸=C、二の糸=F、三の糸=B♭(シのフラット)という構成になります。哀愁を帯びた、艶やかでしっとりした響きが特徴で、芝居の伴奏や情緒的な楽曲でよく使われます。

三調子の関係を一言でまとめると

本調子が基本形。二上りは二の糸を上げて明るく開放的に、三下りは三の糸を下げて哀愁のある響きに。まずはこの3つの関係性を頭に入れておくと、曲ごとの調弦がスムーズになります。

なお、このほかにも六下り(三の糸を2全音下げる調弦)や水調子、津軽三味線ではあまり使われませんが一揚げといった特殊な調弦も存在します。まずは基本三調子をしっかり押さえておくのが優先ですね。

本数・十二律・尺寸の対応早見表

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

邦楽の世界では、基準となる一の糸の音高を「一本」「二本」といった本数で表すことが多いです。また、日本の伝統的な音階である「十二律」や、尺八の管長に由来する「尺寸(しゃくすん)」で表現することもあります。

これらの呼び方と、洋楽の音名・ドレミ表記との対応をまとめたのが以下の早見表です。数が大きくなる(本数が上がる)ほど、半音ずつ音が高くなっていきます。

本数(長唄など) 本数(義太夫) 十二律の名称 洋楽音名 ドレミ表記 尺寸表示(東日本民謡)
一本(1本) 表一本 黄鐘(おうしき) A 二尺二寸(2.2)
二本(2本) 表二本 鸞鏡(らんけい) B♭ / A# シ♭ / ラ#
三本(3本) 表三本 神仙(しんせん) B
四本(4本) 一本 壱越(いちこつ) C 二尺(2.0)
五本(5本) 二本 断金(たんぎん) C♯ / D♭ ド# / レ♭ 一尺九寸(1.9)
六本(6本) 三本 平調(ひょうじょう) D 一尺八寸(1.8)
七本(7本) 四本 勝絶(しょうぜつ) D♯ / E♭ レ# / ミ♭
八本(8本) 五本 下無(しもむ) E 一尺六寸(1.6)
九本(9本) 六本 双調(そうじょう) F ファ
十本(10本) 七本 鳧鐘(ふしょう) F♯ / G♭ ファ# / ソ♭
十一本(11本) G
十二本(12本) G♯ / A♭ ソ# / ラ♭

この表は三味線の調弦早見表として最も基本になる対応関係なので、手元に置いておくととても便利です。長唄で使われる本数と義太夫で使われる本数は名称の付け方が違うので、稽古先や合奏の流派によってどちらの呼び方をしているか確認しておくと混乱が少ないですよ。

津軽三味線でよく使われる本数とは

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

津軽三味線を弾いている方、または興味がある方は、この本数の話が特に気になるところかなと思います。

津軽三味線のソロ(曲弾き)の練習では「4本(C)」がよく使われますが、本番では糸の張りと響きのバランスが良い「5本(C#)」や「一尺九寸」が多く使われる傾向があります。これより高くするとテンションが強すぎて音が耳障りになりやすく、逆に低すぎると迫力に欠けてしまうためです。

一の糸を張りすぎるのは要注意

一の糸をE程度より高く張ると、糸が切れやすくなると言われています。もし高めの音で演奏したい場合は、全体を低めの調弦に落として対応するのが安全です。糸の材質や太さによっても限界は変わってくるので、あくまで一般的な目安として捉えてくださいね。

このあたりの選択は、個人の好みや使っている糸、三味線の種類によっても変わってくる部分なので、あくまで一般的な目安として参考にしていただければと思います。

三味線調弦早見表を活用した具体的な合わせ方

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

ここまでで調子の種類や音の対応関係がわかったところで、実際にどうやって糸を合わせていくのか、具体的な方法をご紹介していきます。調子笛、チューナー、アプリ、勘所を使う方法の4パターンを見ていきましょう。

調子笛を使った調弦のやり方

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

調子笛は、口で吹いて音を出す伝統的な道具です。鳴った音と同じ高さになるよう、三味線の糸を合わせていきます。

手順としては、まず自分が歌いやすい高さ、または指定された本数の調子笛(例えば「4本=C」)を吹いて音を出します。その音を聞きながら一の糸の開放弦を弾き、同じ高さになるよう糸巻きを回していきます。一の糸が決まったら、それを基準に二の糸、三の糸を合わせていく流れです。

調子笛のメリットは、電源が不要で、毎日繰り返すことで音程を正確に聴き分ける「耳」が自然に鍛えられる点です。ただ、低音用の調子笛は音が合わせにくいので、初心者の方には高音用の調子笛が推奨されています。私も最初は高音用から練習を始めました。

チューナーやアプリを使った調弦

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

現代で最も一般的で、初心者でも正確に合わせやすいのがチューナーやアプリを使う方法です。

専用チューナーとクリップ式チューナー

三味線専用のチューナーは、本調子・二上り・三下りの設定をスイッチで選ぶだけで、各糸の適正音をガイドランプで示してくれるので初心者には扱いやすいです。

また、楽器の振動を直接感知するピエゾクリップタイプのチューナーは、周囲が騒がしい場所でも自分の音を正確に拾えるのが強みです。取り付け位置は天神(棹の先)が多数派ですが、天神の響きを止めるのを避けるために胴の胴掛け紐に取り付ける奏者もいます。どちらが正解というわけではなく、好みや状況で選んでよいと思います。

平均律と純正律の使い分け

チューナーは基本的に「平均律」で測定します。しかし、三味線特有の響きである「サワリ」が最も美しく共鳴するのは、平均律よりわずかに高めの「純正律」に近い音程だといわれています。

ソロで演奏する際はサワリが一番響くポイントを耳で確認しながら合わせ、他の楽器と合奏する際はチューナー(平均律)できっちり合わせる、という使い分けが理想的です。

スマートフォンアプリを使った調弦

高価なチューナーを購入しなくても、アプリを使えば手軽に高精度な調弦が可能です。三味線専用のチューニングアプリは、本調子・二上り・三下りの各調子に対応していて、糸ごとに「高い」「低い」が画面上に視覚的に表示されるものが多く、初心者にもわかりやすいです。ピアノの音を聴きながら十二の律名を選んで合わせられるタイプのアプリもあります。

常に持ち歩くスマホでいつでも調音できるのは大きなメリットですね。ゲーム感覚で音を合わせられるので、練習のハードルも下がるかなと思います。

チューナー・アプリ利用時のポイント

合奏メインならチューナーやアプリで平均律に正確に合わせる。ソロメインなら、耳でサワリの響きを確認しながら微調整する。この2つの視点を持っておくと、目的に合った調弦ができるようになりますよ。

勘所を使って耳で合わせる方法

三味線の調弦早見表完全ガイド|本調子・二上り・三下り解説

一の糸の音さえ決まれば、勘所(ツボ)を押さえた音と開放弦の音を比較することで、チューナーがなくても二の糸・三の糸を合わせることができます。少し慣れが必要ですが、覚えておくと便利な方法です。

本調子の場合

一の糸の「4」の勘所(文化譜)を押さえて弾いた音に、二の糸の開放弦の音を合わせます。二の糸が決まったら、二の糸の「6」の勘所を押さえて弾いた音に、三の糸の開放弦の音を合わせます。最後に、一の糸と三の糸が綺麗なオクターブになっているか、同時に弾いて確認しましょう。

二上りの場合

一の糸の「6」の勘所を押さえて弾いた音に、二の糸の開放弦の音を合わせます。次に、二の糸の「4」の勘所を押さえて弾いた音に、三の糸の開放弦の音を合わせれば完了です。

この方法は、邦楽の世界で「調弦3年、ツボ8年」と言われるほど奥深いものです。すぐに完璧にできなくても大丈夫なので、少しずつ耳を育てていく感覚で取り組んでみてくださいね。

糸巻きの扱い方と糸伸ばしのコツ

調弦の技術と同じくらい大切なのが、糸巻き(カラクイ)の扱い方です。三味線の糸巻きは、バイオリンなどと同様に「摩擦(木の棒が穴に差し込んであるだけ)」で固定されています。そのため、ただ回すだけではすぐに緩んでしまうんですね。

コツとしては、糸巻きを回すときに棹の穴の奥へグッと押し込みながら回すようにすることです。これにより摩擦がしっかり効いて、音が安定して固定されます。

新しい糸の糸伸ばし

新しく張り替えたばかりの絹糸やナイロン糸は、弾いているうちにどんどん伸びて音が下がってしまいます。これは糸を張り替えた経験がある方なら、一度は経験しているのではないでしょうか。

安定させる方法としては、糸を張った後、目的の音(例えばC)よりも1音程度高い音(Dなど)に一度調弦し、しばらく置いておくというやり方があります。こうすることで糸が均等に伸び、その後の音の狂いが少なくなります。指で無理に引っ張って伸ばすのは、部分的に糸が細くなって音程が不安定になる原因になるので避けたほうがよいですね。

サワリの調整も忘れずに

東サワリ(吾妻サワリ)がついている三味線の場合、調弦中にサワリのネジ調整も同時に行います。他の糸と美しく共鳴し、最も豊かな余韻が響くポイントを、調弦しながら後ろのネジで微調整してみてください。響かせ方はジャンルや個人の好みによって異なる部分なので、いろいろ試してみるのがおすすめです。

沖縄三線のちんだみとの違い

ここまでは三味線の話をしてきましたが、沖縄の三線にも興味がある方は多いのではないでしょうか。三線では調弦のことを「ちんだみ」と呼び、3本の弦をそれぞれ「男絃(をぅーぢる・1の弦)」「中絃(なかぢる・2の弦)」「女絃(みーぢる・3の弦)」と呼びます。

三味線と考え方は似ている部分もありますが、呼び方や特殊な調子の使われ方に違いがあるので、簡単に整理しておきます。

調子の名称 音の構成 度数関係 特徴
本調子 ド-ファ-ド 4度・5度 最も基本的な調子で、男絃から中絃が4度、中絃から女絃が5度の関係になります。
三下げ ド-ファ-シ♭ 4度・4度 本調子から女絃を1全音下げた調子。琉球音階の曲でよく使われ、独特の哀愁が出ます。
二揚げ ド-ソ-ド 5度・4度 本調子から中絃を1全音上げた調子です。

ちなみに「一二揚げ」と「三下げ」は、相対的なチューニングの関係としては全く同じものです。本調子から1の弦(男)と2の弦(中)をそれぞれ1全音上げると「一二揚げ」になり、本調子から3の弦(女)を1全音下げると「三下げ」になります。基準とするキーの高さの呼び方が違うだけで、実質的な音の関係は同じなんですね。古典音楽では「三下げ」、民謡では「一二揚げ」と表記される傾向がある、という点も覚えておくと理解が深まります。

三下げになると、女絃の「七」の勘所の位置が、通常より高い「尺(17.3cm)」と同じ位置に移動します。三線を弾く方は、この位置の変化も併せて覚えておくとスムーズに対応できますよ。

三味線調弦早見表で調子をマスターしよう

ここまで、三味線の調弦の基本的な考え方から、本調子・二上り・三下りの違い、本数や十二律との対応早見表、そして調子笛・チューナー・アプリ・勘所を使った具体的な調弦方法まで見てきました。

最初はチューナーやスマホアプリを頼りにして、視覚的に正しい音を合わせることから始めるのがおすすめです。目で見て確認できる分、心理的なハードルもかなり下がるかなと思います。

慣れてきたら、調子笛を使って自分の耳で音のズレを聴き分ける練習を並行して行ってみてください。そうすることで、三味線演奏に不可欠な音感と、サワリの共鳴を聴き取る力が少しずつ養われていきます。私自身も今でも調弦のたびに新しい発見があって、飽きることがありません。

この記事の早見表を参考にしながら、演奏する曲や唄い手の声に合わせた最適な調弦を見つけていってくださいね。なお、実際の楽器の状態や糸の種類によって最適な調弦は変わってきますので、迷ったときはお稽古の先生や楽器店など、専門家に相談してみることも大切です。正確な仕様や製品情報については、各メーカーの公式情報も併せてご確認いただければと思います。

ABOUT ME
響(ひびき)
響(ひびき)
「音の交響録」ナビゲーター
和の伝統楽器と東方の旋律が響き合うブログ「雅の響きと東方の調べ -古の調べと異国の響きが交わる、音の交響録-」。和太鼓奏者・響が案内役となり、力強い太鼓の鼓動と二胡の繊細な調べが織りなす世界を紹介します。楽器の歴史や演奏の魅力、アンサンブルの工夫、文化的背景まで幅広く解説。日本の雅やかな音色と異国の響きが出会うことで生まれる新しい感動を、記事やストーリーを通じてお届けします。
記事URLをコピーしました