こんにちは。雅の響きと東方の調べ、運営者の響(ひびき)です。
篠笛の吹き方やドレミ音階について、「どうやって音を出すの?」「運指表はどう読むの?」と疑問を抱えていませんか?篠笛は日本の伝統楽器の中でも特にシンプルな構造を持ちながら、いざ吹いてみると「全然音が出ない」「かすれてしまう」という声をよく耳にします。
篠笛の吹き方をゼロから学ぼうとすると、アンブシュア(口の形)、息の方向、指穴の押さえ方、さらには調子(キー)の選び方まで、覚えることが多くて戸惑いますよね。
この記事では、篠笛のドレミ調から吹き方の基本、初心者向けの運指表、練習ステップまでを丁寧に解説しています。八本調子や六本調子などの調子の違い、筒音・呂音・甲音の音域の仕組み、ピアノなど洋楽器との合奏に対応するための知識も網羅しています。
楽譜が読めない方でも数字譜(一二三)の読み方から丁寧に説明していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。きっと篠笛をもっと好きになれるはずです。
- 篠笛の種類(古典調・唄用・ドレミ調)と自分に合った調子の選び方
- 音が出るアンブシュアの作り方と息の角度の調整方法
- ドレミ対応の運指表と呂音・甲音の使い分け
- 初心者が実践できる段階的な練習ステップ
篠笛の吹き方とドレミ音階の基礎知識
篠笛を吹き始める前に、まず「どんな楽器なのか」「どのドレミ調の笛を選ぶべきか」を理解しておくことがとても大切です。ここでは篠笛の種類、調子の仕組み、そして音域の構造について、基礎からわかりやすく説明していきます。
篠笛の種類と古典調・唄用・ドレミ調の違い
篠笛には大きく分けて3種類の音階設定があります。それぞれに異なる用途と歴史的背景があるので、自分が何をしたいかによって選ぶ笛が変わってきますよ。
古典調(お囃子用)
日本各地の祭り囃子、神楽、だんじり、盆踊り、民謡などの伝統芸能で古くから使われてきた笛です。指穴の間隔はほぼ等間隔(均等孔)で作られており、西洋音楽のドレミファソラシドとは音階が一致しません。
地域や笛師(製作者)ごとに独特の音程・音階を持っているのが特徴で、岸和田だんじり祭りで使われる「七本調子 六孔 古典調」などが有名です。古典調は「ドレミに合わない=劣っている」ということではなく、それぞれの地域の歴史と文化に根ざした音のあり方があります。
唄用(唄物・邦楽調)
昭和初期に、歌舞伎囃子や長唄の三味線の音階に合わせられるよう改良された篠笛です。指穴の位置や大きさが調整されており、三味線の音程に正確に合わせやすくなっています。主に歌舞伎・上方舞・民謡などで使われ、指穴は7つのものが主流(七孔)です。
ドレミ調(洋楽調・調律笛)
現代の音楽教育や洋楽器との合奏のために、西洋音楽の12平均律(ドレミファソラシド)に近い音程で正確に調律された篠笛です。J-POPのカバー曲や現代曲、ピアノやギターとのアンサンブルに幅広く対応できるので、初心者の方やポップスを演奏したい方には特におすすめの選択肢ですよ。
初心者に適した調子(キー)の選び方
篠笛は管の長さ・太さによって基準となる音の高さ(キー)が異なり、これを「調子」と呼びます。一番長くて太い笛が「一本調子」で最も低い音が出て、数字が大きくなるにつれて管は細く短くなり、半音ずつ基準ピッチが高くなっていきます。
初心者におすすめの調子はこの3つ
- 八本調子(C調):ハ長調の実音に対応。西洋楽器と最も合わせやすく、指穴の間隔が狭いので手の小さい方・小学生にも向いています
- 七本調子(B調):お囃子や合奏でよく使われる定番の調子
- 六本調子(B♭調):民謡・長唄・洋楽器との合奏に多用される
最初の1本を選ぶなら、西洋楽器との合奏や音楽教室での使用を想定している方には八本調子のドレミ調が無難です。手の大きさや演奏目的に合わせて選ぶのが一番ですが、迷ったときは八本調子を選んでおくと後悔しにくいですよ。
筒音・呂音・甲音・大甲音の音域の仕組み
篠笛の音域は約2オクターブ半に及び、音域によって呼び名が変わります。これを理解しておくと、楽譜(数字譜)の読み方がぐっと楽になります。
| 音域名 | 篠笛譜の表記 | 特徴・吹き方 |
|---|---|---|
| 筒音(つつね) | すべての穴を塞ぐ | 最低音。口の中を広くして温かく太い息で「ボー」と吹く |
| 呂音(りょおん) | 漢数字(一、二、三…七) | 第1オクターブの低音域。息をゆっくり、やや下方向へ |
| 甲音(かんおん) | アラビア数字(1、2、3…7) | 第2オクターブの中音域。指使いは呂音と同じ。息を細く速く、やや上向きに |
| 大甲音(だいかんおん) | 数字の上に点(1̇、2̇…) | さらに高い音域。息を非常に鋭く細く速くコントロールして吹く |
特に初心者の方が最初に戸惑うのが、呂音から甲音への切り替えです。指使いは全く同じなのに、息のスピードと方向だけで音が1オクターブ上がるというのが篠笛の面白いところでもあり、難しいところでもあります。最初は呂音をしっかり安定させることを最優先に考えてみてください。
篠笛の巻き(天地巻・総巻)の違いと選び方
篠笛を選ぶときに「天地巻」と「総巻」という言葉を見かけることがあると思います。これは管に施された糸などの巻きのことで、音色や耐久性に違いが出てきます。
- 天地巻(てんちまき):管の両端のみに巻きを施したシンプルなタイプ。音色はやや柔らかめになる傾向があります
- 総巻(そうまき):管全体にわたって多くの箇所に巻きを施したタイプ。音色は固めで引き締まり、竹にヒビが入っても割れが広がりにくいメリットがあります
- 朱総巻(しゅそうまき):総巻に朱色の装飾を施した見た目にも華やかな仕様です
初心者の方には、万が一管が割れても安心な総巻タイプがおすすめです。音色の好みで選ぶのも大いにアリですよ。
篠笛のドレミ吹き方マスターガイド:運指から練習法まで
篠笛の基礎知識が整ったら、いよいよ実際の吹き方と練習法に入ります。このセクションでは、アンブシュアの作り方から指の置き方、ドレミ対応の運指表、そして段階的な練習ステップまでを詳しく解説していきます。「音が出ない」「かすれる」という悩みも、ここで解決していきましょう。
音が出るアンブシュアと息の角度の作り方
篠笛はリコーダーのように「吹けば鳴る」楽器ではありません。唄口(うたくち)という息を吹き込む穴の縁(エッジ)に息を当てて空気の渦を作ることで初めて音が鳴る仕組みです。ですから、正しい口の形(アンブシュア)と息の角度を身につけることが最優先になります。
アンブシュアの作り方(ステップ順)
- 唇を自然に閉じた状態から、軽く微笑むように口角を少し横に引きます
- 唇の真ん中に、息が通る極めて小さな穴(アパチュア)を作ります
- 上唇と下唇が平行になるように意識し、前に向かって細くまっすぐな息が出るようにします
注意点:上唇が下唇に被さると息が下に向きすぎて音が鳴りにくくなります。唇が平行になっているか、最初は鏡で確認しながら練習するのがおすすめです。
初心者向けの口の形練習法
「アンブシュアと言われてもピンとこない…」という方には、お箸やストローを使った練習法がとてもわかりやすいです。
軽く前下歯に舌を当て、お箸やストローを唇にくわえます。そのままそっとお箸を抜いて、できた唇の形のまま息を吐き出してみてください。ストローを通して息を吹く感覚を覚えると、細く鋭い息のコントロールがしやすくなります。
また、「目の前にある木の葉を吹き飛ばすイメージ」で「フーッ」と強めに息を吐いて、音が出るポイントを探してみるのも効果的ですよ。
唄口への当て方と角度の微調整
顔の中心と唄口の中心を正確に合わせ、下唇が唄口の手前約3分の1を覆うように笛を当てます。唇の真ん中から出した細い息を、唄口のフチの少し下(エッジ)に向けて吹き出すのがポイントです。
音が出たら、笛を微妙に前後に回転させながら最も豊かに響く「一点」を探してみてください。この微調整には「メリ」と「カリ」という技術が使われます。
- メリ:笛を内側に回す(または顎を引く)ことで唄口を塞ぐ面積を増やし、音程を下げる
- カリ(カル):笛を外側に回す(または顎を上げる)ことで唄口を開き、音程を高く・大きくする
正しい指の置き方と押さえ方のコツ
篠笛にはフルートのようなキイ(金属のレバー)がないため、指の腹や関節を使って直接指穴を塞ぐ必要があります。指先だけで塞ごうとすると隙間が生じて音が出なくなるので、ここで正しい押さえ方をしっかり覚えておきましょう。
左手の押さえ方
人差し指・中指・薬指は「指先の腹(指紋がある部分)」を使い、上から軽く置くようにして穴を押さえます。親指は管の裏側で支え、やや唇の方向へ軽く押しつけるようにして笛を安定させます。
左手の指の裏側(手のひら側)は、べったりと管に密着させず、やや隙間を作るようにして柔軟に動かせるよう意識してください。
右手の押さえ方
右手は指先を使わず、指を真っ直ぐ伸ばして被せるように構えます。人差し指・中指・薬指は「第一関節と第二関節の中間(指の平らな部分)」で穴を押さえるのがポイントです。
最初は右手の小指の位置を固定し、そこから薬指・中指・人差し指と順番に位置を合わせていくとスムーズに構えられますよ。
豆知識:ドレミ調の篠笛は、正確な音程を出すために右手の指穴の間隔が変則的になっています(人差し指と中指の間隔が狭く、他の間隔が広いなど)。手の小さい方は、まず八本調子などの細く短い笛から始めるのがおすすめです。
7孔ドレミ調篠笛の運指表と音程調整のポイント
ここが多くの方が最も知りたい部分ではないでしょうか。7孔ドレミ調篠笛の基本運指とドレミの対応関係を詳しく解説します。
まず大前提として、篠笛の数字譜は移動ド唱法に基づいています。つまり何本調子の笛であっても、運指と相対的な音階の関係は共通です。指穴をすべて塞いだ状態(筒音)から、管尻(右側)の穴から順番に指を開けていくことで、ドレミファソラシドのメジャースケールが構成されます。
| 篠笛譜(呂音/甲音) | ドレミ表記 | 吹き方・押さえ方のコツ |
|---|---|---|
| 筒音 | (低音のラ) | すべての指穴を塞ぐ。息をゆっくり、口の中を広くして「ボー」と吹く |
| 一 / 1 | ド | 音程が高くなりやすいため、ゆっくりした曲では「メリ(顎を引く)」気味に吹いて音程を下げる |
| 二 / 2 | レ | 長唄を原型とする曲の吹き始めに多用される音 |
| 三 / 3 | ミ | 音程が低くなりやすい傾向があるため、ゆっくりした曲では少し「カリ(顎を上げる)」気味に吹いて調整 |
| 四 / 4 | ファ | 押さえ方が2種類ある。①右手人差し指を上げ中指で押さえる(音程正確)。②簡易的に順番に開けていく(テンポが速い曲向き) |
| 五 / 5 | ソ | 呂音の練習では六から五へスムーズに指を移行させる練習が効果的 |
| 六 / 6 | ラ | 初心者が最初に音出し練習するのに最適。指を多く塞ぐ必要がなく、最も音が出しやすい |
| 七 / 7 | シ | 押さえ方が2種類ある。流派や笛によって異なるので自分に合った方を選ぶ |
| 〇(ゼロ) | シ♭ / ラ# | 半音。音程が低めに出るため「カリ」気味に吹く。七の運指が苦手な人でも使いやすく、表現力が豊かになる |
特に「ファ」の音は2種類の押さえ方があるので、最初は音程が正確な①の方法を覚えておくといいですよ。早いテンポの曲に慣れてきたら②の方法も試してみてください。
初心者向け練習ステップ:六の音から始める理由
「さあ練習しよう!」と思ったとき、どの音から始めればいいか迷いますよね。篠笛の場合、答えは明確で「六(ラ)の音から始める」のが正解です。
すべての指穴を塞ごうとすると指に余計な力が入り、唄口の位置がずれて音が鳴らなくなってしまいます。「六」は指をほとんど使わないため、アンブシュアと息の方向に集中して練習できるんです。
ステップ1:六の音(ラ)で音出しを安定させる
顎を前後に動かしたり、笛を微回転させたりして、最も大きく澄んだ音が鳴るポイントを体に覚え込ませます。これがすべての基礎になります。
ステップ2:指を順番に下ろしていく練習
「六」の音が安定して出るようになったら、音を途切れさせずに息を吹き続けたまま、指を一つずつ下ろして穴を塞いでいきます。
- 六(ラ)→ 五(ソ)
- 五(ソ)→ 四(ファ)
- 四(ファ)→ 三(ミ)→ 二(レ)→ 一(ド)
この順番で、音が滑らかに移行できるように繰り返し練習しましょう。
ステップ3:タンキングを行わない音の区切り方
篠笛では、リコーダーやフルートのような舌を使ったタンキング(Tu-Tu-Tu)は原則として行いません。同じ音が連続する場合は以下の技法を使います。
- 打ち指(うちゆび):指穴を押さえている指を一瞬だけ素早く叩くようにして音を区切る
- 指上げ(はね指):指を一瞬だけ素早く跳ね上げるようにして音を区切る
甲音(高音)への挑戦と呂音との切り替え方
呂音(低音)がしっかり出せるようになったら、いよいよ甲音(高音)へのチャレンジです。これが初心者の最初の大きな関門といわれていて、「同じ指使いなのになぜ高い音が出るの?」という疑問を持つ方も多いですよね。
仕組みはシンプルで、息のスピードを「細く・速く」して、吹き込む方向をやや上向きに切り替えることで1オクターブ上の甲音が出ます。指使いは呂音とまったく同じです。
最初は思い切って強く吹いてみて、楽器や唇が共鳴して震える感覚を掴んでから、徐々に息の量をコントロールして綺麗な音に整えていくのがコツです。「できた!」という瞬間が必ずやってきますので、焦らず続けてみてください。
音量を大きく響かせるコツ:口の中(口腔内)を狭くせず、顎を下に下げるようにして口の中に広い空間を作ります。喉を大きく開けて息を吐くことで共鳴腔が広がり、音量が格段にアップします。
五線譜・ピアノなど洋楽器との合奏への対応方法
「ピアノと一緒に吹きたい」「五線譜の曲を篠笛で演奏したい」という方も多いと思います。篠笛は移調楽器的な特徴を持っているので、ここを理解しておくと合奏がとてもスムーズになります。
どの調子(一本調子〜十二本調子)の笛であっても、同じ数字譜であれば全く同じ運指で演奏できます。ただし実際に鳴る音(実音)はキーによって変わります。
- 八本調子(C調)で「一 二 三」と吹くと → 実音で「ド レ ミ」と鳴る
- 六本調子(B♭調)で「一 二 三」の運指で吹くと → 実音で「B♭ C D」と鳴る
五線譜にシャープ(#)やフラット(♭)がない「ハ長調(Cメジャー)」の曲を演奏するなら、八本調子の篠笛を使えば五線譜のドレミをそのまま「一二三四五六七」に置き換えて演奏できます。これが最もシンプルな合わせ方です。
篠笛の音律や音楽的な背景について、より深く知りたい方は東京新聞の文化・芸術記事なども参考になります。また、伝統音楽全般の学術的な背景については、独立行政法人日本芸術文化振興会(国立劇場)の公式サイト(出典:国立劇場公式サイト)も参照してみてください。日本の伝統芸能を支える公的機関として、篠笛を含む邦楽全般の情報が充実しています。
調号(#・♭)がある場合の対応:楽譜にフラットが1つある曲を演奏する場合、八本調子(C調)のまま「メリ吹き(半音下げ)」などの技術を使うか、全体を全音上げた楽譜に移調して「六本調子(B♭調)」の笛で臨時記号なしに吹く、といった使い分けをします。五線譜から篠笛譜(数字譜)に書き起こす際は、五線譜の下に自分が演奏しやすい調に移調した「一、二、三…」を書き込んでいくと、とても使いやすい楽譜になりますよ。
篠笛の吹き方とドレミをマスターするための上達のまとめ
ここまで篠笛の吹き方とドレミ音階について、基礎から練習法まで幅広く解説してきました。最後に、これだけは押さえておいてほしいポイントを整理しておきます。
篠笛上達のために覚えておきたい5つのポイント
- 最初の笛選びは八本調子のドレミ調が初心者に最適
- 音出しの練習は必ず「六(ラ)」の音からスタートする
- アンブシュアは鏡を見ながら丁寧に確認し、息の角度を体に覚え込ませる
- 呂音から甲音への切り替えは指使いは同じ・息を細く速く・やや上向きに
- ピアノなど洋楽器との合奏は八本調子(C調)を基準に調整する
篠笛は「最初の音出し」さえクリアできれば、あとはどんどん楽しくなっていく楽器です。毎日少しずつ練習を重ねて、自分だけの音色を育てていってください。
当サイト「雅の響きと東方の調べ」では、篠笛をはじめとした伝統音楽・東洋の音楽に関するさまざまな情報を発信しています。気になる記事があればぜひ他の記事もチェックしてみてくださいね。
なお、篠笛の購入や演奏に関する具体的なアドバイスは、楽器店や専門の演奏家・先生に直接ご相談されることをおすすめします。この記事はあくまで一般的な情報として参考にしていただき、最終的な判断はご自身の状況に合わせて行ってください。

